リスク回避の為に企業のネガティブ情報を検索できる官庁サイト辞典
2020/02/28
「皆さんは企業のネガティブ情報をどのような方法で探しているでしょうか?」
・新規の下請業者がじつは過去に行政処分を何度も受けていた…
・契約したソフトウェア開発会社がブラック企業でスタッフが疲弊しきっていた…
・販売しようとしていた商品が欠陥品で、メーカーはリコールを隠していた…
取引開始後にこうした事実が発覚すると、自社の信用に傷が付き、その業者を切ればいいだけではなく大変な後始末の手間と労力・コストが発生してしまいます。取引先企業のネガティブ情報は取引開始の前に極力把握しておきたいものです。政府官公庁への登録や申請が必要な許認可事業や運輸安全に関わる製品サービスに関するトラブル、 貸金業を始めとした金融業などは、監督官庁がその処分状況やトラブル状況を管理し公開しています。そしてこうした情報は無償で誰でも閲覧できるようになっているのです。本記事では、取引先・関係先法人を調べる第一歩の手段として、政府各省庁データベースでの行政処分・ネガティブ情報や許認可の状況などの検索サイトを一挙にご紹介します。
国土交通省管轄の7業種の企業登録情報を閲覧することができます。建設業者・ 宅地建物取引業者・マンション管理業者・賃貸住宅管理業者の4業種は条件検索で、測量業者、建設コンサルタント、地質調査業者、補償コンサルタントは一覧表形式での閲覧が可能です。
http://etsuran.mlit.go.jp/TAKKEN/業種ごとの行政処分歴を検索できます。業種によって過去2~5年のデータが掲載されています。残念ながら開示期間より古い情報については個別に問合せをしても回答は得られないようです。ただし、大きな事件の場合は記事検索などから行政処分情報を手繰り寄せられる可能性はあります。
http://www.mlit.go.jp/nega-inf/
都道府県 (知事) が行った、宅地建物取引業者に対する監督処分に関する情報を一覧表形式で閲覧ができます。処分日から5年間の掲載となります。
http://www.mlit.go.jp/nega-inf/takken/index.html
調べたい車名や型式、車台番号、シリアル番号等から、その車両のリコール・不具合情報を検索できます。開示期間は7年間です。
http://carinf.mlit.go.jp/jidosha/carinf/ris/index.html
住宅瑕疵担保責任保険協会が運営するサイトです。リフォーム工事、大規模修繕工事、中古住宅売買等にかかる瑕疵保険を利用するためには、住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)の審査を受けて登録することが必要です。この登録がされている事業者を、希望の所在地や会社名等で条件設定をして探すことができます。
http://search-kashihoken.jp/産業廃棄物排出事業者は産業廃棄物処理業の許可がある業者に委託しなければなりませんが、無許可で事業を営んでいる企業が数多く存在しています。営業許可を得て事業を営んでいるかを確認することが肝要です。環境再生・資源循環局廃棄物規制課が管理運営しています。
https://www.env.go.jp/recycle/waste/sanpai/index.php規定された法律に対する違反行為や欠格要件が生じ許可が取り消された業者はこちらで検索することができます。
マニュフェスト虚偽記載や再委託など違反行為が横行しており、取引の際のこちらのチェックは必須です。
株式の上場企業・公開企業の開示書類を検索閲覧できるサイト。ホームページで記載が無くても、有価証券報告書を閲覧すれば大株主や役員の経歴なども分かります。IR情報により不正・不祥事に関する情報も炙り出すことができます。使いようによっては大変貴重な情報源になります。
http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/
免許・許可・登録が必要な金融関係の業者はここで全て閲覧することができます。「金融商品取引業者」や「適格機関投資家等特例業者等」などは投資・融資・M&Aなどの際に登場することの多い業者で企業経営のリスクをヘッジするには押さえておきたい情報です。公開方式はPDF又はExcelですが、PCやブラウザの検索機能 (ショートカット:Ctrl+F) で法人名や登録番号などで検索閲覧ができます。貸金業についてはその事業内容の重要性から簡易に検索できるシステムが構築されています。(3-3項参照)
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html
貸金業と名乗りながらここに登録されていなければヤミ金融です。
また、登録番号を掲示していてもここで検索結果に出てこなければ、嘘の番号を使っているか、3年ごとの更新がされていない (又は失効) 業者の可能性があります。
平成19年12月に貸金業法に基づく自主規制機関として設立した団体のサイト。貸金業者としては悪質な業者に社名を語られたり不法な融資がはびこる事は自身の信用に傷が付きかねない問題のため、このサイトのようにヤミ金業者の情報を収集公開して資金需要者への利益を守る活動をしています。
https://www.j-fsa.or.jp/personal/bad_contractor/search/平成14年度以降金融庁や各財務(支)局が発出・公表した、法令違反等に関する不利益処分の事例を対象に、Excel形式で検索閲覧できるようにまとめた情報です。期間内の処分の件数は2590件を超えており、金融関係の行政処分がかなりの件数に上ることが分かります。
https://www.fsa.go.jp/status/s_jirei/kouhyou.html金融商品取引法違反審判事件において課徴金の納付命令が出された事件を閲覧することができます。平成17年以降直近までの事件が情報開示されています。事件ごとの審判の決定要旨という書面を閲覧でき事件の詳細を知る事ができます。
https://www.fsa.go.jp/policy/kachoukin/05.html
輸入時検査等において食品衛生法違反となった事例に関する情報を、平成12年以降直近の速報まで掲載しています。年度ごとのExcel形式での開示のためPCやブラウザの検索機能(ショートカット:Ctrl+F)で法人名などから検索することができます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/ihan/index.html厚生労働省の委託事業者で非営利一般社団法人 安全衛生優良企業マーク推進機構が運営するブラック企業を検索できるサイト。
主にコンプライアンス(法令や規則等)を遵守していない企業のことで、その定義は、厚生労働省等が定める諸法令や指針の取組内容によります。
不当労働行為をめぐって争われた事件に関する都道府県労働委員会及び中央労働委員会から発せられた命令、労働委員会関係の判決等の情報を収録。命令は昭和34年から、裁判例は昭和41年から直近までの事件の概要情報を検索閲覧できます。
任意の複数キーワードで検索を掛けられますので、企業名や地域、事件の内容などで企業のネガティブ情報に繋がる情報を得られる可能性があります。
労働者派遣事業者、職業紹介事業者について許可・届出受理番号、受理年月日、事業者名等で検索閲覧ができます。行政処分の改善命令、停止命令、廃止命令、許可取消命令での抽出もできますので、ネガティブ情報の確認にも役に立ちます。
https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/JinzaiWeb/GICB101010.do?screenId=GICB101010&action=initDispこのサイトから「許可・届出事業所の検索」に入ってください。
介護事業所や生活関連情報 (相談支援、ケアマネジメント等) の検索を全国対象にできるサイト。
基本的にはユーザー向けに構築されたサイトですが、事業所の運営方針、規模やサービス内容など詳細に開示されていますから、業務提携やM&Aの際の初期段階の情報収集にも役に立つでしょう。
労働者派遣事業者、職業紹介事業者について許可・届出受理番号、受理年月日、事業者名等で検索閲覧ができます。行政処分の改善命令、停止命令、廃止命令、許可取消命令での抽出もできますので、ネガティブ情報の確認にも役に立ちます。
独占禁止法に関わる審決等のデータは、公正取引委員会が保有・公開されており、審決等があった場合には、逐次、データの追加・更新が行われます。
公開期間は検索範囲に「昭和」までありますからほぼ無期限と思われます。
労働者派遣事業者、職業紹介事業者について許可・届出受理番号、受理年月日、事業者名等で検索閲覧ができます。行政処分の改善命令、停止命令、廃止命令、許可取消命令での抽出もできますので、ネガティブ情報の確認にも役に立ちます。
https://www.recall.caa.go.jp/
生命・身体被害に関する消費生活上の事故情報を検索することができます。欠陥や問題が事前に判明して回収されるのであればまだ傷は浅いかもしれません。事故が起こってしまってからの事態の収拾は企業経営にとっては極めて大きな負荷となります。相手が製造業ならば念のため押さえておきたい情報です。
http://www.jikojoho.go.jp/ai_national/特定商取引法は事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。無店舗の訪問販売や通信販売、電話勧誘販売など消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象にしています。この法律で違反する行為は、知らなかったことによる過失よりは故意であるケースの方が圧倒的に多く、行政処分の対象になるという事業者は企業経営のモラルが欠如している可能性が高いです。訪問販売や通信販売を主な営業手法に採用している企業との取引きではこの項目のチェックは必須でしょう。
データは年度ごとの一覧表形式での開示で、年度を横断した検索機能はありません。
CSV、PDFでダウンロードできるようになっています。
特許・実用新案、意匠、商標の出願・公開情報の検索閲覧ができます。出願者名や出願内容など任意のキーワードで検索することができます。自社で商品の商標を検討する際には第一歩として必ず検索する項目ですが、知的財産権を巡る対立や係争の際も大変に役に立つサイトです。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/新規の商取引にしても、業務提携の相手にしても、増資を引受する企業にしても、新たな関係を結ぶ際には相手の企業をしっかりと把握する必要があります。その方法として下記のような情報収集の手法が考えられます。
1)相手から直接ヒアリング(書類提出含めて)
2)帝国データバンクなど信用調査会社のデータを購入
3)特殊調査のできる調査会社に調査依頼
4)ニュースや記事の検索
これらの入手方法に、ご紹介してきました官公庁の公開するデータベースを情報源として加えていただくことで、よりスピーディーにコストを抑えて判断材料を入手できる可能性が広がります。是非ブックマークいただき今後のリスク対策にお役立てください。
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